ミュージックセラピーに掲載した記事のなかで、
私が未だに忘れられないことがあります。
それは、小学5年生の男の子が書いてくれた感想文です。
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「障害があるってどういうこと?」とお母さんと話した。
僕の目が悪くてめがねをかけていることは?
たくさんかけている人がいるからそれは「ふつう」?
じゃあ、人数が多くなったら障害じゃなくなるの?
自分のことをうまく出せなかったり、自分の思い通りに出来ないこと?
人の言っていることが通じない人のこと?
でも、お母さんのいうことを一回できけないのは?
速く走ろうと思っても思うようにならない僕の二本足は障害なの?
はっきりと生活の中で困ってしまうことや誰にでも分かることを抱えている場合、
なんとなく少しだけずれてしまう場合、
みんなが言う「ふつう」じゃないってことだけど、
だれも本当の「ふつう」が何なのか知らないのではないかと思った。
楽しかったな。
そんな風に同じ場所にいた人たちが思えることが大切なんだと思う。
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ココロにがつんときました。
10歳の男の子に、とても大切なことを教えられた気持ちでした。
私たちはすぐに「健常者、障害者」というくくりで分けてしまうし、
それだけでなく、「あの人は変わり者」「この人はまとも」などと、
「ふつう」をものさしにして人を分類してしまう傾向があります。
でも「ふつう」って何なんだろう?
思想が違ったり、年齢が違ったり、民族が違ったり、障がいがあったりなかったり、
人にはいろいろな違いがあるけれど、忘れてはならない揺るぎない共通点があります。
それは、たったひとつのかけがえのない命を生きている人間である、ということ。
同じ時間を分かち合って、
一緒にドキドキしたりワクワクしたり、涙を流したり…。
そういう時間を過ごしたときに、私たちは相手をとても身近に感じることができるし、
自分とは違うその人の良さを認めたりすることもできます。
そこでは思想や年齢、環境などの違い、「普通」のくくり、
ましてや傷がい者などの分類はまったく意味をなさないのです。
自分と違うと思う人を避けるのではなく、
目に見えない同じ部分に気付くことで互いに支え合える事の出来る人間になりたい。
たった10歳の男の子が、いや、純粋な10歳の子どもだからこそ、
大切なことを教えてくれたのでした。
だからこの仕事はやめられないんだよね〜。笑
(田尻めぐみ)
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